じぶん書店

一巻読破のじぶん書店

ゴールデンゴールド

    1巻

  • 堀尾省太
  • コミック
  • 540コイン
  • 福の神伝説が残る島・寧島で暮らす中2の少女、早坂琉花。ある日、海辺で見つけた奇妙な置物を持ち帰った彼女は、ある「願い」を込めて、それを山の中の祠に置く。すると、彼女の目の前には、"フクノカミ"によく似た異形が現れた――。幼なじみを繋ぎ止めるため、少女が抱いた小さな願いが、この島を欲望まみれにすることになる。

少女が拾ったものは福の神、なのか? 思い込みが交錯するブラックなコメディ。

舞台は瀬戸内の離島。宿が有る島の中では一番人口が少ない、という場所である。そこに小説を書こうとする女性と編集者の男性が向かう。件の中学生もこの島の住民である。フェリーで初対面となった女子中学生は「なんかバカにしてた」として距離を置く。何か空気を感じるのだろうし、感受性が豊かなのだろうし、意識しすぎでもあるのだろう。その彼女の家に、小説家と編集者は泊まるのだった。 ところで話は小説家が閉鎖的な田舎を体験するために島に来たのに全くそんな雰囲気ではない、閉鎖的なのはこっちの方だ、と思うように、意識認識のスレ違い、思い込みの交錯がテーマとなっている。が、ここから話に変な要素が加わる。少女がミイラのような置物を見つける。福の神にみえるが七福神のどれにも似ていない。家に持ち帰って洗い磨いたが、ふと思う。「てかそもそも なんでコレを持って帰ろうと思った・・・?」 この福の神をめぐるオカルトチックな物語が展開していく。祠に入れたら図体が大きくなり赤ん坊のようになって、自立して動き始める。たたりか?呪いか?彼女は慌てて逃げるのだが、すると福の神かと思った瞬間、足元に500円玉が落ちていた。という具合にコメディタッチでもある。主人公の淡い恋物語もあり、しかも恋する相手はアニメイトがあるから高校は父親のいる大阪で通う!と言うくらい無邪気というか邪念がない。そんな二人の青春ラブコメになるかと思いきや、彼女が帰ると家にその福の神がいるのだった。しかも、他の人にはどうやら普通のオッサンに見えている様子。ただし小説家と編集者には彼女同様の姿に見える。島の者にだけ人間のように見えるのか? ちぐはぐなコメディのようだが、この福の神、人を巻き込む能力があるらしい。しかしどうやら「性質は極めて単純で周囲から人や財を集める」「一緒にいる人の金運を上げる存在じゃない」ようである。が、少しずつ、巻き込まれた島の人の行動が変わっていく。とくに、福の神の世話をしている少女の祖母が・・・。 著者の前作は時空を移動してしまうSF「 刻刻 」。傑作だった同作と方向性は違うが、 こちらもオカルティック。密かに怖い。しかし怖がらせるだけでなく、 笑いもある。双方に振れながら話が進んでいくなら最強。